マンション投資シミュレーション始め方|宅建士が5物件3年で見た数値2026

区分マンション投資のシミュレーションは「利回り計算をすればいい」と思っていませんか。私がAFP・宅地建物取引士として3年間・5物件の収支試算を重ねてわかったのは、表面利回りだけでは投資判断の入口にすら立てないという現実です。この記事では、初心者が最初に組むべき投資始め方のシミュレーション手順を7ステップで具体的に解説します。

マンション投資シミュレーションの全体像を把握する

シミュレーションを「工程」として分解する意義

収支試算を一度も体系的に組んだことがない方が陥りやすいのは、販売業者が提示した「想定家賃×利回り」の数字をそのまま鵜呑みにするパターンです。私が最初に物件比較を始めた頃も、業者から渡された資料の表面利回り6.8%という数字だけを見て「良さそうだ」と感じた瞬間がありました。しかし宅建士として物件調査を進めると、管理費・修繕積立金・固定資産税が差し引かれた実質利回りは4.1%まで落ちていたのです。

シミュレーションは「工程」です。1つの数字を見るのではなく、収入側と支出側を分けて積み上げ、最終的にキャッシュフローとして着地させるプロセス全体を指します。この工程を7手順に分解することで、どのステップで試算が甘くなっているかを自己点検できるようになります。

区分マンション収支の構造:収入と支出の全科目リスト

マンション投資シミュレーションで扱う科目は、大きく「収入」と「支出」の2軸です。収入側は家賃収入・礼金・更新料の3項目。支出側はローン返済・管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・損害保険料・管理委託料・入居付け費用(広告料)・空室損失の9項目が基本となります。

ここに法人名義で保有する場合は法人住民税の均等割(東京都の場合、資本金1,000万円以下で年間7万円)が加わります。私が法人で初めて確定申告を経験した際、この均等割を試算から完全に落としていたことに税理士面談の場で気づかされました。「赤字でも発生するコスト」という概念が抜け落ちていたのです。個別のコスト認識漏れが積み重なると、シミュレーション全体の精度が大きく狂います。

私が3年・5物件で経験した収支試算の実体験

均等割7万円を見落とした法人設立初年度の失敗

私はAFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士として都内で法人を経営しており、フィリピンとハワイでも実物不動産を保有しています。国内外の物件比較を重ねてきた経験から言うと、日本の区分マンション投資は「コストの見えにくさ」が他国に比べて際立っています。

法人化した初年度、私が組んだシミュレーションには均等割が入っていませんでした。法人税法上、赤字であっても住民税の均等割は課税されます。東京都の場合、資本金1,000万円以下・従業員50人以下の法人でも道府県民税・市町村民税を合算すると年間約7万円の負担が生じます。この7万円を12で割ると月約5,800円。1室のキャッシュフローが月1万円前後という物件では、均等割1つで収益性の評価がひっくり返ります。

税理士との顧問契約締結後の最初の打ち合わせで「均等割は必ずシミュレーションに入れてください」と指摘されたとき、私は自分の試算の甘さを痛感しました。個別の税務判断は必ず税理士に確認すべきですが、この経験はFP・宅建士としての「数字の読み方」を根本から見直すきっかけになりました。

5物件比較で見えてきた家賃下落率の実数値

私が3年間で比較検討・試算を行った5物件(東京23区内の築5〜20年の区分ワンルームマンション)では、家賃下落率の設定が収支の明暗を分けるケースが繰り返し出てきました。業者提示の試算では家賃を現状維持で固定しているものが多かったのですが、実際に国土交通省の不動産価格指数やアットホーム・SUUMO等のデータを参照すると、築10年以降のワンルームは年率0.5〜1.5%程度の家賃下落圧力を受けている物件が存在します。

保守的に年率1.0%の家賃下落を20年分複利で組み込むと、現状家賃8万円の物件は20年後に約6.5万円まで落ちる計算になります。この差額を累計すると数百万円単位の収入減です。家賃下落率を「0%で固定」するか「年率1%で試算」するかだけで、20年間の区分マンション収支は大きく変わります。試算は常に保守ベースと楽観ベースの2シナリオを併走させることを私は強く推奨します。

利回り計算の実数値:表面・実質・ROIの違いを整理する

表面利回りと実質利回りの計算式と使い分け

利回り計算には主に3種類あります。表面利回り・実質利回り・ROI(投資収益率)です。それぞれの計算式は以下の通りです。

  • 表面利回り:年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100
  • 実質利回り:(年間家賃収入 − 年間諸経費)÷ 物件購入価格 × 100
  • ROI:年間キャッシュフロー ÷ 自己資本投下額 × 100

表面利回りは比較の入口として使えますが、投資判断には使えません。私が比較した5物件では、表面利回りの平均が6.1%だったのに対し、実質利回りは平均3.8%まで下がりました。差の約2.3%分が管理費・修繕積立金・固定資産税等の諸経費です。ROIはローン返済後の手残り(キャッシュフロー)を自己資本で割るため、レバレッジの効果を測る際に活用します。

実数値で見る「利回りが高い物件=良い物件」ではない理由

利回りが高い物件には、それなりの理由があります。地方の高利回り物件は空室率が高く、入居付けに時間とコストがかかるケースが多い。都心の低利回り物件は空室リスクが低い反面、キャッシュフローが薄く、ローンの返済比率が収入を圧迫します。

私が宅建士として物件を見る際、利回りと同時に確認するのが「賃貸需要の持続可能性」です。最寄り駅からの徒歩分数・周辺の大学・企業・病院の有無・人口動態データ(国勢調査・市区町村の人口推計)を照合します。利回りの数字はあくまで現時点の家賃を前提にした比率であり、将来の空室リスクや家賃下落率は数字に含まれていません。利回り計算は出発点であり、到達点ではないという認識が重要です。湾岸タワーマンション投資リスク7選|宅建士が現場で見た実態2026

空室率の試算:組み込み方と想定シナリオの立て方

空室率を収支試算に組み込む具体的な手順

空室率の試算で犯しやすいミスは「空室ゼロで計算する」ことです。長期入居が続いている物件でも、退去から次の入居確定まで平均1〜3ヶ月の空室期間が発生するのが現実です。年間12ヶ月のうち1.5ヶ月が空室なら空室率は12.5%。この数字を組み込まずに試算すると、毎年1ヶ月以上分の家賃収入が架空の数字として試算に乗り続けます。

空室率の試算手順として、私は以下の3段階を使っています。まず楽観シナリオとして空室率5%(年間約0.6ヶ月)、次に標準シナリオとして10%(年間約1.2ヶ月)、そして保守シナリオとして15%(年間約1.8ヶ月)の3パターンを収支表に同時に走らせます。物件ごとに「この物件はどのシナリオに近いか」を周辺の賃貸データで根拠づけすることで、試算の信頼性が格段に上がります。

空室期間を短縮するための費用も試算に含める

空室期間を短縮するために発生するコストも試算から外せません。入居付け費用(仲介手数料・広告料)は家賃の1〜2ヶ月分が相場です。原状回復費用も退去のたびに数万円〜十数万円が発生します。築年数が上がるほど設備更新費(給湯器交換15〜20万円、エアコン交換5〜10万円等)も現実的なコストとして視野に入れるべきです。

私がフィリピンとハワイの物件と比較して感じるのは、日本の区分マンションは管理の仕組みが整っている反面、入退去コストが積み重なる点でキャッシュフローを圧迫しやすい構造だということです。空室率試算は単に「空室期間の家賃ゼロ」を計上するだけでなく、入退去に伴うコスト全体を抱き合わせで組み込む習慣をつけてください。投資の始め方おすすめ7選|宅建士が5物件で見た区分マンション実体験2026

出口価格の試算手法とシミュレーション7手順まとめ

出口戦略を前提に置いた逆算シミュレーションの考え方

出口戦略を後回しにしてシミュレーションを組む方が多いですが、これは大きな落とし穴です。区分マンション投資の最終的な収益性は「売却価格 − 残債 − 売却コスト」で決まります。毎月のキャッシュフローがプラスでも、売却時に残債を下回る価格でしか売れなければ、トータルでマイナスになる可能性があります。

出口価格の試算には「利回り逆算法」が有効です。将来時点で想定される周辺の期待利回りから、その時点の家賃水準を割り戻して売却価格を推計します。例えば20年後の想定家賃が6.5万円・周辺の期待利回りが6%なら、6.5万円×12ヶ月÷6%=1,300万円が試算上の売却価格です。購入価格・自己資金・売却コスト(仲介手数料・譲渡所得税等)を照合することで、投資全体の損益を俯瞰できます。なお、譲渡所得税の計算は所得税法・住民税の適用区分が保有期間や個人・法人の違いによって変わるため、最終判断は必ず税理士または所轄税務署に確認してください。

シミュレーション7手順の整理とCTA

ここまでの内容を踏まえ、私が実践しているマンション投資シミュレーションの7手順を整理します。

  • 手順1:購入価格・自己資金・借入条件の確定/ローン返済額・金利・返済期間を入力する起点
  • 手順2:表面利回りの算出/比較の入口として使うが、判断材料にはしない
  • 手順3:諸経費の全科目リストアップ/管理費・修繕積立金・固定資産税・均等割・保険料等を漏れなく計上
  • 手順4:実質利回りの算出/諸経費控除後の数字で物件の実力を測る
  • 手順5:空室率・家賃下落率の3シナリオ設定/楽観・標準・保守の3本立てで走らせる
  • 手順6:年次キャッシュフロー表の作成/20〜30年分の収支を年単位で可視化する
  • 手順7:出口価格の逆算と総収益の確認/売却価格−残債−売却コストで投資全体の損益を確認する

この7手順を1物件ごとに丁寧に積み上げることで、投資始め方のシミュレーション精度は大きく変わります。私自身、この型を確立してから物件比較の基準が明確になり、「なんとなく良さそう」という感覚判断を数字で上書きできるようになりました。

マンション投資シミュレーションをより実践的に進めたい方は、専門的なサポートを活用することも有効な選択肢の一つです。収支試算のツールや相談窓口をお探しの方は、下記よりサービスの詳細をご確認ください。なお、税務に関わる判断は個別の事情により異なるため、最終確認は税理士・専門家への相談を推奨します。

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筆者:Christopher(クリストファー)/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。東京都内で法人を経営し、フィリピン・ハワイで実物不動産を保有。宅建士として国内外の物件比較・投資物件の見極めを実体験。大手生命保険会社2年・総合保険代理店3年を経て、個人事業主・富裕層・経営者の保険×税務相談を多数担当。法人設立後は税理士との顧問契約・決算前打ち合わせを自ら経験し、現役の経営者・宅建士として国内マンション投資のリアルを発信している。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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