マンション投資の相場を正確に把握しないまま購入してしまう方は、今も少なくありません。私はAFP・宅地建物取引士として東京都内の法人を経営しながら、フィリピン・ハワイでも実物不動産を保有しています。その経験をもとに、実際に検討・比較した5物件の価格・利回り・賃料の実数値を本記事で公開します。2026年現在の東京マンション投資相場を正しく読む判断軸を身につけてください。
マンション投資の相場とは何か
「相場」を構成する3つの数字
マンション投資の相場と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは「価格」だと思います。しかし実際に物件を選ぶ場面では、価格・賃料・利回りの3つを同時に把握しなければ、相場の実態はつかめません。
価格は物件の購入コストそのものです。賃料は毎月の収益の源泉であり、利回りはその2つの比率から算出されます。どれか1つだけを見ていると、「価格が安い物件なのに利回りも低い」といった矛盾に気づけません。
私が区分マンションを比較した際も、同じエリアで300万円以上の価格差があるのに、賃料はほぼ変わらないケースがありました。相場とは「1つの数字」ではなく、3指標の組み合わせで読むものです。
相場が動く背景:金利・需給・建築コスト
2024年以降、日銀が政策金利の引き上げ方向へ舵を切ったことで、住宅ローン・投資ローンの金利環境は変化しつつあります。金利が上がれば物件価格の上昇余地は縮まり、逆に新規購入者のローン返済負担は増します。
加えて、建築資材の高騰と人件費の上昇が続いており、新築ワンルームの供給コストは高止まりしています。これが新築物件の価格下支えとなり、中古物件との価格差が広がる一因にもなっています。
東京都内では人口流入が続いており、単身世帯向けの賃貸需要は底堅い状態です。ただし、エリアや築年数によって需給の差は大きく、「東京だから安心」という単純な判断は危険です。相場を読む際は、これらのマクロ要因を必ず背景情報として持っておく必要があります。
私が3年で見た5物件:価格と利回りの実数値
5物件の概要と実数値一覧
ここからは、私が宅地建物取引士として実際に資料請求・現地確認・収支シミュレーションを行った5物件の実数値を紹介します。物件の特定を避けるため、エリアは「城東エリア」「城南エリア」などの区分で表記しています。
【物件A】城東エリア・築12年・18㎡:価格1,980万円、賃料78,000円、表面利回り4.73%
【物件B】城南エリア・築5年・20㎡:価格2,650万円、賃料98,000円、表面利回り4.44%
【物件C】城北エリア・築18年・22㎡:価格1,750万円、賃料75,000円、表面利回り5.14%
【物件D】城西エリア・築8年・19㎡:価格2,480万円、賃料93,000円、表面利回り4.50%
【物件E】都心5区・築3年・21㎡:価格3,200万円、賃料115,000円、表面利回り4.31%
5物件の表面利回りは4.31%〜5.14%の範囲に収まっています。価格帯は1,750万円〜3,200万円と1,450万円の開きがある一方、利回りの差は約0.83%にとどまります。つまり価格が安い物件が利回り面で有利とは限らず、賃料水準との兼ね合いで決まるという実態があります。
表面利回りと実質利回りの差を現実的に見る
表面利回りは「年間賃料÷購入価格×100」で計算する単純な数字です。しかし実際の収益性を判断するには、管理費・修繕積立金・固定資産税・空室リスクを織り込んだ実質利回りで見る必要があります。
上記5物件の場合、管理費・修繕積立金の合計が月額1.5万〜2.5万円程度かかることが多く、これだけで年間18〜30万円のコストになります。表面利回り4.5%の物件でも、実質利回りは3.0〜3.5%程度に落ちるケースは珍しくありません。
私が物件比較を行う際は、必ず実質利回りベースでの収支シミュレーションを作成しています。表面利回りはあくまで「入口の数字」であり、それだけで購入判断を下すのは危険です。実質利回りが3%を下回るようであれば、物件の購入意義を慎重に再検討すべきです。
東京都内ワンルームの価格相場と賃料相場の実態
エリア別の価格帯:都心5区 vs 周辺区
東京マンション投資における価格相場は、エリアによって大きく異なります。都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の築浅ワンルームは2,800万〜3,500万円が一般的な価格帯です。一方、城東・城北・城西エリアの同等スペックの物件は、1,700万〜2,500万円の範囲で流通しています。
都心5区の物件は価格が高い分、賃料水準も高く、空室率も低い傾向があります。ただし価格上昇が先行しているため、利回りは相対的に低下しています。周辺区の物件は価格が抑えられている分、利回り面では有利に見えますが、賃貸需要の厚みは都心より薄い点を忘れてはいけません。
私の見立てでは、2026年現在の東京都内ワンルームの平均的な取引価格は2,300万〜2,700万円の範囲に集中しています。これが「東京マンション投資の標準的な価格相場」として押さえておくべき数字です。湾岸タワーマンション投資リスク7選|宅建士が現場で見た実態2026
賃料相場:エリアと築年数による差の実態
賃料相場も、エリアと築年数の掛け合わせで大きく変わります。都心5区の築10年以内・20㎡前後のワンルームは、月額95,000〜120,000円程度が相場です。城東・城北エリアの同等スペックだと、70,000〜90,000円の範囲が目安になります。
築年数が10年を超えると、同じエリアでも賃料は5,000〜15,000円程度の下落圧力がかかります。ただし、最寄り駅から徒歩5分以内・設備が充実している物件は、築年数の影響を受けにくい傾向があります。私が確認した物件Cは築18年でありながら、駅近という条件で月額75,000円の賃料を維持していました。
賃料相場は国土交通省の「不動産取引価格情報」や、各ポータルサイトの賃料データで確認できますが、実際に現地の管理会社へ直接ヒアリングする情報の精度が高いです。区分マンションを検討する際は、必ず近隣の実際の賃料事例を複数確認してください。投資物件の見極め方7視点|宅建士が5物件で検証した実数値2026
相場から見る購入判断軸:4つのチェックポイント
利回り・価格・賃料の3指標をどう組み合わせるか
相場データを集めた後に重要なのは、「どの数字を軸に判断するか」という優先順位の設定です。私が物件選定で使っている判断軸は、以下の順番です。
まず、実質利回りが3.0%以上あるかを確認します。表面利回りではなく実質利回りで3.0%を下回る物件は、ランニングコストを加味すると収支が厳しくなるリスクが高まります。次に、現地の空室率と賃料の下落傾向を確認します。過去3〜5年の賃料推移を管理会社や不動産ポータルで調べることで、将来的な収益変動の見通しが立てやすくなります。
さらに、修繕積立金の残高と大規模修繕の計画を確認します。築10年超の区分マンションでは、修繕積立金の不足が将来の一時金徴収につながるケースがあります。物件の表面的な価格だけでなく、取得後に発生するコストの全体像を把握してから購入判断を下すべきです。
「相場より安い物件」に潜むリスクを見極める
相場より明らかに安い物件には、必ず理由があります。私がこれまでに見てきたケースでは、①管理組合の運営が機能していない、②修繕積立金が著しく不足している、③近隣に大規模な競合物件の供給が予定されている、④賃借人の退去が続いており空室が長期化しているといったケースが多いです。
価格が相場の10〜15%以上下回っている物件を見た場合、まずその理由を徹底的に調査することが先決です。割安に見えた物件が、修繕一時金や空室長期化によって実際には高コスト物件だったという事例は、投資経験の浅い段階では特に陥りやすい落とし穴です。
なお、収益物件の取得に際しては、税務上の取り扱い(減価償却の計算方法、ローン利息の経費計上など)についても事前に確認が必要です。この点は個別の事情により異なりますので、税理士または所轄税務署への相談を強くお勧めします。
まとめ:2026年のマンション投資相場と次のアクション
この記事で確認した相場感の要点
- 東京都内ワンルームの価格相場は2,300万〜2,700万円が標準的な取引帯(2026年現在)
- 表面利回りは4.3〜5.2%程度が現実的なレンジだが、実質利回りは3.0〜3.5%まで下がることが多い
- 賃料相場はエリア×築年数の掛け合わせで決まり、都心5区の築浅は月額95,000〜120,000円程度
- 相場より安い物件には必ず理由があり、修繕積立金残高・空室推移・管理組合の状況を確認すべき
- 実質利回り3.0%未満の物件は収支の悪化リスクが高く、購入前に慎重な再検討が必要
- 税務上の取り扱いは個別の事情により異なるため、最終判断は税理士・専門家へ相談すること
相場を把握した上で、次に取るべきステップ
マンション投資の相場を正しく理解することは、物件選びの出発点にすぎません。実際に収益を上げ続けるためには、物件選定・融資設計・税務戦略・管理体制の4つを連動させて考える必要があります。
私はAFP・宅建士として法人を経営する立場から、「相場を知ること」と「相場を活かすこと」は別のスキルだと実感しています。相場データを武器にするためには、実際に動いている市場の情報を継続的に収集し、複数の物件を比較する経験を積むことが欠かせません。
まずは自分が検討できる価格帯のワンルーム相場を具体的に調べ、実際の物件情報と照らし合わせてみることをお勧めします。下記のリンクから、東京都内の投資用マンションに関する詳細な情報を確認してみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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