マンション投資リスクシミュレーション7例|宅建士が5物件で見た損益2026

マンション投資のリスクシミュレーションを「なんとなく」で済ませると、数年後に取り返しのつかない損失を抱えます。私はAFP・宅地建物取引士として5物件・3年分の実数値を手元に持っており、その数字をもとに7つのシナリオを試算しました。空室リスク・金利上昇・修繕費・家賃下落を軸に、損益分岐の計算手順を具体的に解説します。

投資リスクシミュレーションの前提と7つの変数

試算に使う5物件のスペックと共通条件

私が実際に調査・比較した5物件は、東京23区内の区分マンション3件、神奈川・埼玉の区分マンション各1件です。物件価格の帯は1,800万円〜3,200万円、築年数は築5年〜築22年、専有面積は18〜28㎡のワンルーム〜1Kが中心です。

共通条件として、頭金は物件価格の10%、変動金利1.8%(2025年時点の実勢水準)、借入期間35年でシミュレーションを組みます。管理費・修繕積立金の合計は月額1.5万〜2.5万円を物件ごとに入力しました。この5物件の平均表面利回りは4.9%で、東京都心寄りほど低く、郊外ほど高い傾向が実測値からも明確に出ています。

シミュレーションで動かす7変数の定義

リスクシミュレーションで動かす変数は次の7つです。①空室率、②金利変動幅、③修繕積立金の値上げ幅、④家賃下落率、⑤原状回復費・リフォーム費、⑥固定資産税の増減、⑦管理委託費率の変化です。

これらを一度に動かすと「最悪シナリオ」になりますが、それは現実的ではありません。私は「1変数のみ悪化させたベースケース」「2〜3変数が同時に悪化したストレスケース」「全変数が悪化したワーストケース」の3段階で試算します。それぞれの損益分岐点を把握することで、どのリスクが収益に対して最も影響度が高いかが見えてきます。

私が試算で均等割を見落とした実体験

法人住民税の均等割を計算に入れ忘れた失敗

東京都内で法人を経営している私が、不動産収益を法人で受け取る計画を立てた際、シミュレーション上の落とし穴に気づいたのは担当税理士との打ち合わせのタイミングでした。私が作成したスプレッドシートには法人税・消費税の概算は入力していましたが、法人住民税の均等割(年間約7万円、東京都内の小規模法人の場合)を完全に抜かしていたのです。

均等割は「赤字でも発生する固定費」です。不動産賃料収入が月ゼロになる空室期間中でも、法人が存続している限り課税されます。私は宅建士でありFPでもありますが、税務の細部については「顧問税理士に確認する」という姿勢を徹底しています。税務相談・申告は税理士の専権事項であり、私が税務代理を行うことはありません。あくまで「法人オーナーとして実際に均等割を計上し忘れた」という体験として共有します。

修繕積立金の値上がりを「据え置き」で計算していた誤算

もう一つの失敗は、修繕積立金を購入時の金額で35年間固定して入力していたことです。実際には多くのマンションで5〜10年ごとに修繕積立金が引き上げられます。私が調査した神奈川の物件では、築10年時点で月額5,800円だった修繕積立金が、長期修繕計画の見直しにより築15年時点で月額9,200円に引き上げられていました。差額は月3,400円、年間4万800円です。

35年のシミュレーションでこの差を無視すると、累計で143万円以上のコストが試算から抜け落ちます。区分マンション投資においては、管理組合の長期修繕計画書を必ず取り寄せ、値上げのロードマップを確認してから数字を入力するべきです。これは宅建士として現地調査・重要事項説明の経験から強くお伝えできる実務の話です。

空室率シミュレーション実例と損益分岐

空室率1%刻みで見る年間キャッシュフロー変化

空室リスクは区分マンション投資において収益を直撃するリスクです。私が試算に使ったモデルは、物件価格2,500万円・月額家賃8万5,000円・変動金利1.8%・借入期間35年のケースです。このケースの満室想定年間家賃収入は102万円で、ローン返済額(元利均等)は年間約85万円、管理費・修繕積立金は年間24万円です。

空室率0%(満室)では年間キャッシュフローは+約▲7万円(固定費込み)とギリギリのラインです。空室率5%(年18日相当の空室)では▲12万円、空室率10%(約36日)では▲17万円と悪化します。損益分岐点となる空室率は、このモデルでは概ね3〜4%前後です。ただし個別の物件条件・金利・管理費により大きく変動するため、必ず自物件の数字で再計算してください。

空室長期化リスクと「2カ月空室」の実損計算

空室率を年間平均で語る一方、「2カ月連続空室」という現実のリスクも別途試算すべきです。上記モデルで2カ月連続空室が発生した場合、家賃収入の損失は8万5,000円×2=17万円です。この17万円が回収できるのは、残り10カ月の家賃収入がそのまま入り続ける前提で約1.7年分の余剰キャッシュに相当します。

つまり、1回の長期空室を埋めるには複数年分の「順調な運用」が必要になるという構造です。仲介会社への広告費(一般的に賃料1〜2カ月分)も加算すると、2カ月空室の実損は25万〜35万円規模になることもあります。空室リスクに対しては、賃貸需要の強いエリアの物件選びが収益安定の基盤となります。湾岸タワーマンション投資リスク7選|宅建士が現場で見た実態2026

金利上昇時の損益分岐計算と修繕費・家賃下落の試算

変動金利1.8%→3.0%への上昇が月返済額に与える影響

2024年以降、日銀の政策変更を受けて変動金利が上昇局面に入る可能性が市場で議論されています。私が試算した5物件の平均借入額は約2,200万円です。変動金利1.8%・35年の月返済額は約7万1,000円ですが、これが3.0%に上昇すると月返済額は約8万2,000円に増加します。差額は月1万1,000円、年間13万2,000円の追加負担です。

さらに金利が3.5%まで上昇した場合、月返済額は約8万7,000円となり、当初比で月1万6,000円・年間19万2,000円の上乗せになります。金利上昇だけで損益分岐を超えるケースも十分あり得ます。変動金利を選択する場合は、金利3%水準でもキャッシュフローがマイナスにならないかを事前に確認することを強くお勧めします。

家賃下落5%・修繕費突発計上が重なった「ストレスケース」

実際の不動産投資では複数リスクが同時に顕在化します。私が想定するストレスケースは「家賃5%下落+修繕費突発50万円計上+空室率8%」の組み合わせです。上記モデルに当てはめると、年間家賃収入は96万9,000円(5%減)から空室分を除いた約89万1,000円になります。

これにローン返済85万円・管理費修繕積立金24万円・突発修繕50万円を差し引くと、年間キャッシュフローは▲70万円前後という試算になります。1年でこの規模の損失が発生した場合、回収に要する年数は「順調時の余剰CFがいくらか」次第です。区分マンション投資の収益計画は、楽観シナリオだけでなくストレスケースを必ず試算してから意思決定するべきです。投資の始め方おすすめ7選|宅建士が5物件で見た区分マンション実体験2026なお、税務上の損益計算・減価償却の取り扱いについては、税理士または所轄税務署へ個別に確認することを強くお勧めします。

まとめ:7シナリオ試算の要点とリスク管理の次の一手

7つのシミュレーション結果が示す共通の教訓

  • 空室率は「年間平均」だけでなく「連続空室」のシナリオも別途試算する
  • 変動金利は現在値ではなく+1.2〜1.7%の水準でもキャッシュフローが成立するか確認する
  • 修繕積立金は購入時の額を35年固定で入力せず、長期修繕計画書の値上げロードマップを反映する
  • 法人で不動産収益を受け取る場合、均等割など赤字でも発生するコストを必ず計上する
  • 家賃下落・突発修繕・空室が同時に発生する「ストレスケース」を1シナリオとして必ず用意する
  • 損益分岐点を事前に把握し、それを超えた時点での「出口戦略」をあらかじめ決めておく
  • 税務上の節税効果が期待される部分については、税理士への相談を前提に試算に組み込む

リスクを理解した上で次の物件選びを始めるために

私はAFP・宅地建物取引士として、フィリピンとハワイの実物不動産を保有しながら、国内区分マンション投資の物件選びにも継続的に関わっています。7つのシナリオを試算してわかることは、「利回りが高い物件がリスクを吸収するわけではない」という現実です。高利回りの郊外物件は空室リスクと家賃下落リスクを同時に抱えており、低利回りの都心物件は金利上昇・修繕費のコスト吸収力が相対的に高い傾向があります。

どのシナリオが自分の財務状況に適合するかは、個別の事情により大きく異なります。投資判断・税務処理の最終確認は、必ず税理士・不動産の専門家へ相談することを前提にしてください。まず情報収集のステップとして、収益物件の比較サービスを活用してみることをお勧めします。

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筆者:Christopher(クリストファー)/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。東京都内で法人を経営し、フィリピン・ハワイで実物不動産を保有。宅建士として国内外の投資物件を比較・調査した実務経験を持つ。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・富裕層・経営者の保険×税務相談を多数担当。現在は都内法人経営・インバウンド民泊事業を運営しながら、マンション投資のリアルを発信中。個別の税務判断は税理士・所轄税務署へのご確認を推奨します。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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